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アメリカの金融政策―金融危機対応からニュー・エコノミーへ
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「学習のできる」組織の強み
政策反応関数など標準的計量分析とナラティブ(物語)分析を併用し'90年代(特に前半)米金融政策運営の実態とその成果に迫る快作です。
本書の醍醐味は、やはり公開されたFOMC(連邦公開市場委員会)議事録等から政策決定の過程を読み解いてゆくクロノロジー分析にあるのではないでしょうか。時には数頁にまたがる議事録引用もあり、市場心理に最大限の配慮を払いながら意思決定を進めてゆくグリーンスパン前FRB議長等の真意がよくわかり、手に汗握る展開となっています。
5つの時期に分割されたクロノロジー分析の章間には各時期において重要なトピックスを詳細分析する章が置かれています。'92-4のゼロ金利政策実施の章の次には日本のバブル後の金融政策が比較検討され、デフレ懸念時に実質金利水準を「素早く」「マイナス水準」に落とし回避に成功した米国とは真逆に「兵法で忌まれる『戦力逐次投入』的に」「プラス水準」にしか落とせなかった日本が対照されており、後者のデフレ突入の真因が語られます。この章では金融政策のみならず併せて財政政策の政策反応についても計量分析がなされていて、バブル後日本では両者が一致して同方向に動くことがなかったとする結論に膝を打ちました。この他にも、「情報公開の効果測定」や「資産価格変動と金融政策の関係」等興味深いトピックスが章立てされています。
'90年代当初の金融危機の際にはFOMCも後手後手の利下げ決定を行うなど相当もたついた様です。しかし、その教訓を活かし’01ITバブル崩壊時には前述の迅速な対応でデフレ潰しに成功しています。著者もグリーンスパン前議長個人だけではなく議長を支える質量ともに優れたFRB全体のスタッフのパワーを強調されていますが、このように「学習のできる組織」が米国の持ち味なのかもしれません。
という感じです。
私のおすすめ度は★★★★★で文句なしです(笑)
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